何故飛ぶの?屋根材の風害考察・破風板と風切り丸の役目とは?

御閲覧頂きまして誠にありがとう御座います。
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今回の記事内容は

何故飛ぶの?屋根の風害考察・破風板と風切り丸の役目とは?

これに付きましてご説明させて頂こうと思います。
この記事は私の現場経験と考察に基づき記述しておりますので
公的な機関の実験結果ではない事を予めご了承頂きまして読み進めて下さい。

昨年の台風21号の際数々の被害現場に赴きました。
その結果を記していきます。
以下の文章からは隙間が大事なキーワードとなります。


こちらは薄型化粧スレート屋根といいます。
※通称コロニアル※
このコロニアルの屋根の棟板金部分が飛散していました。
何故か?
棟板金と平部の間に隙間が生じていたからです。

次はこちら

滅多に飛散する事のない日本瓦屋根の平部ですが飛散しておりました。
現場は滋賀県です。
今回の台風21号の被害は私の住む大阪府より滋賀県の方が酷く感じました。
こちらも強風で一枚でも剥離されれば隙間が生じます。
これが連続飛散の原因ですが、それ以上飛散が進まなかったのは瓦自体の重量が重なり風圧に耐えれたからです。

次はこちら

こちらの屋根はアスファルトシングルで施工された屋根です。
飛散の原因はやはり隙間
密着力が無い部分は殆ど飛散していました。

次はこちらの瓦屋根

右袖瓦といいます。
写真の部位はケラバといいまして最も風害を受けやすい箇所でもあります。
こちらは建材自体の隙間ではなくて元々から構造的な隙間があるから写真の様にズレが発生してしまいました。

構造的な隙間とは?
以下の写真で説明致します。

今回例を挙げたコロニアルや地瓦平部やアスファルトシングルとは違い
このケラバ部分は写真の様に何時も空気の対流が発生してる環境の住居が多くあります。

写真の様にケラバ(破風部)を挟んで空気の流れが上下に二分されますと圧力の差が生じ揚力といいます物体を上に押し上げる力が発生します。

以下は引用で御座います。

元来,飛行機の翼に対して働く力のうち,進行方向に直角な成分をいうが,一般には流体中を進行する物体が,進行方向と直角の方向に受ける力を揚力という。飛行機の翼やスプーンのような非対称形の物体に流れが当ると,流れは片側では加速され,他の側では減速される。加速側では減速側に比べて圧力が低下するから,その圧力差によって揚力が生じる。円柱のような対称物体でも,回転させて流れを非対称にすると揚力が生じる

此方の説明の様に物体の上下に隙間があるという事はその物体を挟んで上と下に空気の対流による圧力差が生まれ、そこに揚力が発生するという事ですね。これがケラバ・破風部は最初から構造的隙間を備えているという事です。

そこでこの揚力を発生させない様にする役目の部材を破風板といい、重要な役目の部材として長年重宝されて参りました。
屋根材に対して下の空気の流れを遮断する役目があります。
こちらが破風板の写真です。

銅板屋根の破風と破風板の写真ですが銅板は瓦よりも軽いのでこの様な二重構造を取っています。
※と、私は考察しています(^^;)※

また、破風板だけでなく
日本瓦では風切り丸といいます躯体重量による飛散防止や平部の納まり易さを考慮した部位も御座います。
こちらの写真がその部位です。

破風板、風切り丸
それぞれ役目は違いますが、飛散させないという目的は同じです。

纏めますと飛行機が飛ぶ原理と屋根材が飛ぶ原理は強風時に同じ原理が発生するということですね。

以上となりますが
何故そうなのか?何故雨漏りするのか?など、など
何故、何故、何故を繰り返して行く職方としての過程もとても楽しい物で御座います。
楽しいですし、誰かの役にも立ちますし、私はをれをずっとやってます。
これからも頑張ります。
(^^;)

この記事が皆様のお役に立てましたら幸いです。
読んでくださいましてありがとう御座いました。
m(__)m