何も触らなくていい屋根 0円

何も触らなくていい屋根も御座います 0円

先日は幸いにも数件の屋根診断を同時に頂きましてあっちをウロウロ、こっちをウロウロとさせて頂いておりました。そこでこちらの記事では偶に拝見いたします『何もしなくても良い屋根』の事例をご説明させて頂こうと思います。よろしくお願い致します。

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銅製芯木有り瓦棒屋根

↑の写真は30年経過の『銅製芯木有り瓦棒屋根』といいます。今までの経験からで恐縮ではございますが『施工完成度』から見た感じで50年以上はこのままの状態を維持されるかと思われます。

その理由としましては『銅板』が苦手とする水流の集約や『小動物による糞尿跡』が無く『緑青』といいます銅板の錆びで『酸性雨』からの保護を削られ続ける現象が見当たらないからです。その耐久原理は『中之島公会堂屋根』と同じで御座います。

加えまして銅板そのものの厚みが0.4mmと固く大げさではなく本当にこの様相でしたら家屋解体まで維持出来るのではないかと考えられます。

瓦屋根の方はどうでしょうか?

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瓦屋根』の方も『実行経過年数中』でありまして明確な寿命を決定付ける要素が見当たりませんでした。『棟瓦』の向きも強風に対して平行な『切妻屋根』ですから簡単には『棟瓦』の内部に雨水は浸透してこれない立地と施工内容となっておりました。

棟瓦の方向』で雨漏りのし易さや耐久力変化が発生する理由は『恒常風』の影響もありますので恒常風の影響にご興味がございましたらこちらの記事もご参考にして頂ければと思います。

地瓦の点検も致しました

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地瓦』といいます屋根の表面積の大半を占める部分も『凍て』や『ズレ』も無くこちらの環境では一切見受けられませんでした。

その理由としまして日光の照射時間が均一にとれている立地である事と、この『屋根勾配』に必要充分な『土量』また『土嵩』が機能し屋根面全体に通気が取れている事と『トントン』(杉皮の防水下地の呼称です)と土の密着が良くズレ難い事と、土を止める為の『桟木』が『五分角』より強固な『胴縁』を用いた施工で更に『土ズレ』が起こり難い施工であった事が主な要因となります。

毛細管雨漏りの危惧もありません

こちらは毛細管雨漏りの写真です
こちらは土葺き屋根の内部構造写真です

また『毛細管雨漏り』を引き起こすの埃の堆積量も瓦自体に予め備わっています『水返し』が充分機能しておりましたので問題はありません。上記理由から今回はメンテナンスの必要性が無いという結論に至る事となりました。

壁際の収まりも全く問題はありません

また『壁際水切り』は『熨斗瓦(のしかわら)』を積まずに谷に直接流している構造となっております。壁際にありますこの納め方は殆ど見られませんのでよい大工さんと屋根屋さんにも恵まれた屋根だと断言させて頂きました。

この納め方でしたら壁面水流が運んで来る埃は溜まる事が無く壁下の『銅谷』から『軒樋』まで流れていきますからその原理を知らないとこの納めは生まれて来ないと予想されるからであります。

個人的に嬉しくなりましてはしゃぐ機会を頂く事となりました。全てを用いられ、いいなあ!と思える仕組みや納め方に出会うと嬉しくなります。まだまだ学ぶ機会を頂ける納め方がある事に感謝いたします。

シリコンによる瓦止めはしなくても大丈夫です

ですので『ラバーロックコーキング』はしなくても大丈夫です。気にされておられた天井裏の染みは『雨漏り痕』では無く模様ですのでどうぞご安心の上でお過ごしくださいませ。

ありがとうございました!