棟瓦の銅線が切れる理由について


先日高槻市にて屋根修理の調査にお伺い致しました。
以前、修理工事にお伺いした施主様のご紹介となります。
感謝しております。

写真の棟瓦の上部2枚が外れておりました。
原因を御説明致します。

棟瓦の中には葺き土といいます土で形成されている場合が殆どで御座います。
その葺き土の量が多いと棟瓦の隙間に侵入する雨が当たり、少しづつですが棟瓦が広がって行きます。
こちらの写真の棟瓦も竣工当時から広がっているという事です。

棟瓦を緊結している銅線にも棟瓦自体の膨張による負荷が掛かる事で棟瓦と銅線の接点に大きな負担が掛かってしまいます。
また風圧を伴う雨の場合に棟瓦と銅線の接点にも雨中に混じる不純物との摩耗が起こります。
これは銅製の谷板に穴が開く現象と同じです。
そうして段々緊結力を失った銅線が切れ、銅線で支えていた熨斗瓦が落下するという事ですね。
その際、元々遊びがあった棟瓦の銅線は切れる事なく維持しておりますが、時間経過と共に現在切れていない部分も何れ切れてしまします。

因みにタコ足線という鉄線はこの状態になる前に跡形もなく消えてしまします。
※タコ足線とは鉄線に銅色の被膜をコーティングした線。

結論としましては、この瓦を用いた棟瓦の積み直しで大丈夫です。
ご安心下さい。

😉