スレート屋根の雨漏り原因ベスト5と修理対策!

こちらの記事では30年以上現場で培って参りました私の視点からスレート屋根の雨漏りの原因と修理対策をお伝えさせて頂こうと思います。よろしくお願い致します。

スレート屋根の雨漏りの原因と修理対策
先ず初めに代表的なスレート屋根を御紹介致します。スレート屋根とはセメントを主成分とした材料をプレス圧縮し成型した屋根材で主に2種類に分類されます。
(薄型化粧スレート・厚型化粧スレート)等。一般住宅や工場の屋根に広く普及している屋根材の総称で御座います。
代表的なスレート屋根の種類


こちらの屋根はスレート大波と言います。(工場・倉庫等で主に使用されています)波の大きさによって小波のスレートもございます。


こちらの屋根は薄型化粧スレートと言います。各メーカーによりその呼称は変わりますが(カラーベスト・コロニアル・パミール・セキスイ瓦U等)主成分は基本同じだと考えて大丈夫だと思います。


こちらの屋根は厚型化粧スレートと言います。(モニエルセンチュリオン・ホームステッド・セメント瓦等の呼称があり)薄型化粧スレートよりも重く厚みがありますがその分耐久性は上がっています。仮に全く同じ立地条件であるとした場合現場を見てきた実感としては薄型化粧スレートの2倍位あるのではないでしょうか
スレート屋根は瓦屋根と板金屋根と並ぶ現在の日本で沢山流通している屋根材の一つでもであります。皆様がご使用なされているご自宅の屋根もこのどれかに該当しているのではないでしょうか?
例外としてはポリカーボネート(強化プラスチック)屋根やガラス屋根なんかもございますね。
スレート屋根の雨漏りの原因ベスト5

それでは次にスレート屋根によく発生する雨漏りの原因についてご説明させて頂こうとおもいます。スレート屋根で発生する頻度の高い雨漏りの原因は下記の5つとなります。
①緩勾配不適合建材使用屋根による雨漏り
②埃堆積による毛細管雨漏り
③塗装による雨漏り
④躯体の損傷による雨漏り
②天窓・トップライトからの雨漏り
以下順を追ってご説明させて頂きます。
①緩勾配不適合建材使用屋根による雨漏り

スレート屋根材の施工に於きまして必ず守らなければならない必須項目が御座います。
スレート屋根材の殆どが水返しという機能がありませんので、必ず適合した屋根勾配の上に施工しなければなりません。
こちらに施工不備がございますと緩勾配不適合建材使用屋根による雨漏りが発生してしまいます。
水返しとは?

水返しとは普段の雨は尚更としまして風圧を伴う雨が屋根材の重ね目に侵入してきた際に下葺き材(ルーフィング)に雨水を干渉させずスレート屋根材そのもので侵入してきた雨を外部に排出する溝や突起の事で、これは葺きあがった屋根表面からは見えません。

(緩勾配不適合建材使用とはならないスレート屋根勾配の目安)
スレート大波・2寸5分勾配以上必要
厚型スレート・薄型化粧スレート・4寸勾配以上必要

必要勾配の目安は現場経験から幾多の雨漏りの事例を垣間見てきた結果の判断となりますが以上と書きましたのは和歌山県沿岸部や能勢町渓谷部などは大阪平野部とは環境が全く違いますので以上と書かせて頂いております。
これら水返しの無いスレート屋根の勾配が緩い場合、簡単に雨は内部に侵入し下記に記します弊害を生む可能性が跳ね上がります。
①雨漏りの原因
②構造材木の腐食
③内部のスレートをとめる緊結材・釘の腐食
④躯体裏面に停滞する雨水の蒸発により表層塗膜の早期劣化
⑤頻繁に起こる水分吸収と蒸発による躯体の割れ
⑥水切れが悪い為苔の繁殖が起こる
⑦雨水の停滞時間、乾燥時間が長く本来の軽量屋根のメリットが阻害される

これらの弊害に繋がってしまいますのでスレート屋根材の施工時は屋根勾配に充分な配慮が必要となりますね。それでも最高級の防水紙や遮熱シートを用いて瑕疵担保責任の10年をクリア致しますと法的には誰も悪くはなりません。

現在非常に多くの方がこの緩勾配不適合建材使用屋根のスレート屋根でお困りで、頻繁に御相談を受けさせております。
元々排水能力の低い緩勾配不適合建材使用屋根ですので適合勾配屋根への変更はお気持ちを察しつつ対処させて頂いております。
改善策は適合勾配屋根材への変更

緩勾配にも適合できる屋根材への変更の御提案としまして当店では日鉄住金製ガルバニウム鋼板(0.35mm)立平葺きへの変更を家屋の形態に合わせて加工し御提案させて頂いております。


当店で過去施工させて頂きましたガルバニウム立平葺きの施工写真となります。耐久性は従来の亜鉛メッキ鋼板(トタン)の耐用年数が塗装を施さない状態で約30~40年でしたので遮熱塗装無し生板ガルバニウム鋼板(亜鉛とアルミの混合メッキ)が20年程問題がでていない事から(現在のガルバニウム鋼板は遮熱塗装が施されております。)20年以上は十分メンテナンスフリーでご使用いただけるものと考えております。
また、この建材の特徴は1寸勾配の緩勾配からでも実際に対応できる事などからお勧めさせて頂いております。一坪当りの重量負担は約20㎏、㎡6㎏となります。
ガルバニウム立平の工法は2通り御座います。
①アスベスト含有スレートを撤去し施工する工法
②旧スレートの上にカバーを掛ける工法
どちらでも対応可能で御座いますが、撤去前提の工法の方が廃棄処分費等、工事費用が掛かります。御予算や今後建て替えの予定などを加味した上で工法の選択をしてください。
②スレート屋根埃堆積による毛細管現象雨漏り
次に埃堆積によるスレート屋根の雨漏りに付いてご説明させて頂きます。こちらも先に御説明させて頂きましたスレート屋根材には水返しが無い特徴が問題となります。
毛細管現象雨漏り

雨が運んでくる埃が屋根材の重ね目に溜まり続けますと堆積した埃を伝って雨水が逆流して参ります。これを毛細管現象雨漏りといい、風の当らない立地にある屋根や緩勾配屋根になる程躊躇にこの現象が見られます。また近隣工場の有無なども埃堆積を促進する要素になる場合も御座います。

こちらの写真がスレート屋根に発生する毛細管雨漏りです。
埃堆積による毛細管雨漏りが発生した場合の対処方法
![モニエル瓦毛細管[1]](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_auto,q_glossy,ret_img,w_350,h_350/https://www.amamore.net/wordpress/wp-content/uploads/2016/05/モニエル瓦毛細管1.jpg)
厚型化粧スレートの雨漏りに対しては人工的に水返しを施設して部分的に雨漏りを直す事も可能です。


またセメント瓦の様に一度スレート屋根を捲り清掃後葺き直す工事も可能で御座います。躯体の強度があり水返しの施設が出来る場合は旧建材を使用した再生も可能で御座いますが薄型化粧スレート(コロニアル・カラーベスト)等は毛細管雨漏りが派生し出す年代になりますと強度が殆ど残っていない為先のガルバニウム鋼板による変更工事をお勧めさせて頂いております。

屋根勾配が十分足りている場合
適合勾配でしたら立平では無く断熱材入りの横断ルーフも施工可能で御座います。
③スレート屋根塗装による雨漏り

次にスレート屋根へ塗装した場合の雨漏りについてご説明させて頂きます。スレート屋根のメンテナンス方法として最もポピュラーな工事と言えば屋根塗装工事で御座います。
ですが先に御説明させて頂きました通りスレート屋根は適合勾配が要となります。また毛細管雨漏りを促進させない意味でもスレート屋根材の重ね目に充分な配慮が必要であります。
スレート屋根の重ね目に空間をつくる事で毛細管雨漏りを抑止する部材をタスペーサーといいます。

プライマーを塗布後にこちらのタスペーサーを挿入し、縁を切る事によって毛細管雨漏り発生を抑止できます。
タスペーサーを施設しても雨漏りしてしまうケース


こちらの屋根は塗装後に雨漏りし御連絡頂いた薄型化粧スレートの寄棟屋根です。
塗装する事により平部の模様凹部が埋まります。新しい塗膜は水の走りも良く普段の雨でも良く切れます。
ですが横殴りの雨には逆効果となり、隅棟の内部に凹部が塗膜によって埋まってなかった以前の状態より多くの雨水を引きこんでしまった結果雨漏りしてしまいました。
不可抗力ではありますが塗装工事は本当に難しいですね。
![2011.11.30兵庫県のモニエル瓦[1]](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_auto,q_glossy,ret_img,w_350,h_320/https://www.amamore.net/wordpress/wp-content/uploads/2016/05/2011.11.30兵庫県のモニエル瓦1.jpg)

こちらの厚型化粧スレートも塗装後に雨漏りが発生しました。水流が一番多く発生する谷部の劣化塗膜が堰となってしまったからです。
スレート屋根塗装による雨漏り対処方法
基本的にスレート屋根の毛細管雨漏りと対処方法は同じで御座いますがスレート屋根塗装後の雨漏りは目視確認出来る部位だけでなく屋根全面の雨漏りが発生している場合が御座います。
また元々発生しているスレート屋根の雨漏りは塗装では直りません。
特に緩勾配のスレート屋根に塗装を施した場合が最も危険ですので、スレート屋根の塗装時には充分注意して行って下さい。
④躯体損傷による雨漏り

続きましてスレート屋根の躯体損傷による雨漏りの御説明をさせて頂きます。


こちらのスレート屋根の雨漏りの原因は屋根材の割れによるものです。
飛来物による欠損なのか経年劣化なのかは判別が難しい割れ方でしたが直ぐ御直し出来る雨漏りですのでその場にて御対応させて頂きました。


こちらの棟包み板金の浮きによる雨漏りは風害が予想され施主様ご自身で保険会社に申請した後の工事となりました。
当店からは写真と見積もりをお渡ししご自身で申請という簡単な手続きです。
棟包み板金の損傷全てに言える事は棟下地の貫き材と雨が干渉し過ぎている一点につきます。
また下地貫き材木に打つ鉄釘も錆び膨張や貫き材の膨張に追随出来なかった結果飛散や落下が目立ちます。

こちらのスレート屋根の欠損は緊結している釘が原型をとどめておらず腐食しており大変危険な状態の雨漏りでした。
躯体損傷による雨漏り対処方法
シリコンを用いてその場で御直し出来る様な躯体の破損などは被害がもともと小さいので問題御座いません。棟包みの飛散の修理も到って簡単で御座います。
ただアスベストを含有しないスレート材や上記スレート屋根の損壊が甚大なケースの屋根材の場合には屋根全面の改修工事が必要な場合も御座います。
⑤天窓・トップライとからの雨漏り

最後にスレート屋根材に付随している天窓トップライトからの雨漏りの御説明をさせて頂きます。天窓からの雨漏りは下記写真を先ずご覧ください。

緑のラインで囲っています箇所は天窓ガラス廻りの防水パッキンが埋め込まれている箇所です。天窓回りの雨漏りでも頻繁に起こる雨漏りの原因はこちらのパッキンの劣化で御座います。
青のラインは天窓周りの鋼板のハゼの部分です。
こちらは豪雨時に雨が溜まられますとやはりハゼの内部に雨水が干渉してきます。
(ハゼとは鋼板と鋼板を折り曲げて互いに繋ぎ合わせて納めている個所の事です。)
赤のラインは無駄折りといいまして屋根内部に雨水が干渉しない様に折り込んで立ち上げています。
ただ写真のスレート屋根の場合立ち上げが不十分になる事と施工中でありましても見えない事から踏んでしまって十分な返しが阻害される様なケースもあり埃堆積と共に毛細管現象雨漏りやオーバーフロー雨漏りを引き起こしてしまいます。
天窓・トップライとからの雨漏り改善方法

緑のラインは新たにL型のアングルや二重構造にするなど構造を変えるかもしくは再度のパッキンへのシーリング工事で雨漏りは直ります。
青のラインは元々シーリングが必要ですね。
赤のラインは現状を捨て谷とし上部水切り板金の施設で雨漏りは直ります。そんなに難しい雨漏りではないのですが発生頻度はやや髙めで御座います。
以上スレート屋根の雨漏りベスト5と修理対策を御説明させて頂きました。皆様のメンテナンスの参考に是非お役立て下さい。
天窓廻りの雨漏りの動画はこちらからご覧頂けます。
こちらは私共の動画サイトのリンクとなります。

こちらの記事は屋根修理や雨漏り修理に必要な知識を7つに纏めさせて頂きました。お時間がございましたら是非ご活用ください!