2017年05月26日

たまちゃんと給食のお母ちゃん

朝の5時
お母ちゃんの一日が始まる。
お父ちゃんと子供達の弁当をこしらえ
朝食の支度。
それが済むと片づけをして職場に向かう
お母ちゃんの職場は小学校の給食場
自転車で30分の距離だ。
お母ちゃんはここで3年間臨時職員として働いていた。

決められた献立を他のお母ちゃんと調理し
その後、学童が各自教室に配膳していた。

お母ちゃんは給食場の仕事が終わると今度は夕刊配達だ。
延べ300の部数を配り終え、帰宅時間は夕方6時。
そこから夕食の支度、部屋の掃除、お風呂、洗濯、洗い物
ゆっくり落ち着ける時間は10時以降となる。

お母ちゃんの同級生は昼間はランチ、綺麗な洋服を着て家族で外食
偶にお母ちゃんも誘われていたが丁重にお断りさせて頂いていた。

お母ちゃんは日に日に不満が募って行った。

そんなある雨の日、給食場で調理を終え
お母ちゃんは同僚と雑談をしていた。

あそこの御主人は一流の商社にお勤めで・・
いやいや、あそこの家は元々地主で・・

お母ちゃん達の会話は何時も現状に対する不満
いや、
諦めから出る、溜息だったのかもしれない。

お母ちゃん達が帰り支度をしていると一人の学童が走って来て
給食場の引き戸を開けた。

(ガラッ!)

この学童はたまちゃんという愛称の女の子
一年前程にお母ちゃんを事故で無くし、お父ちゃん、先生やクラスメートの励ましもあって
今は元気に登校していた。

たまちゃんは給食場のお母ちゃん達に小さく語り掛けた。

(おばちゃん。。)

お母ちゃん達はたまちゃんの方をじっと見る。

(おばちゃん。今日の給食。。お母ちゃんの味みたいやった。ありがとう!)

足音だけ残して、たまちゃんはパタパタと教室に戻って行った。

お母ちゃん達は誰もしゃべらず、上を向いたり、下を向いたりして耐えていた。

翌日からこの給食場で、だれも溜息をつく事が無くなった。
お母ちゃん達は簡単には得れない物を頂いたのだ。

おしまい

 

(`・ω・´)ゞ本日も皆様お疲れ様で御座いました。