雪止め瓦+耐寒緩勾配適合瓦は降雪の堰に勝てるのか?
先日から雨漏り修理工事をさせていただいております現場の写真です。棟の冠瓦下の葺き土も多く、風圧を伴う雨に干渉され続け、風化しております。
この現場は、京都府の北部舞鶴市に近郊している綾部市。
私共の施工エリア外ではありますが、御依頼頂いた次第です。
年間降雪量も大阪とは全く違うこちらの屋根には雪止め瓦が施工されております。雪止め瓦とは、堆積した雪が一度に滑落し人損や物損を未然に防ぐ為に施工する瓦屋根材の名称です。屋根材により様々な形態が御座います。
舞鶴市の最大降雪量は、2012年の87cm
大阪府の最大降雪量は、1907年の18cm
(気象庁のデータをお借りしました。)
実に大阪の4.8倍
屋根に雪が堆積した場合、滑落もそうですが、最も怖い現象と考えられるのが雪解け水の逆流や、雪そのものが堰となって防水紙に雨水が干渉している可能性があるという事。
この一点に注視致します。
早速、二階の雪止め瓦の周りの瓦を捲って調べてみました。
現在の防水紙に比べれば品質は多少下がるアスファルトルーフィングですがタワミや染み後は一切見つけられません。
一階の日照時間の短い面も精査致しました。
雪の解ける速度が遅ければ遅いほど、堰や逆流の危険が増すからです。
写真の通りこちらも問題ありません。
結果として
雪止め瓦+耐寒緩勾配適合瓦は降雪の堰に勝てるのか?
勝てます。
こちらの立地(京都府綾部市)では充分機能しております。
理由は、地瓦に充分な水返しが施設してあるからで御座います。
雪解けの雨水も堰となる雨水も施設している水返しで跳ね返し防水紙に干渉されておりません。
※屋根の仕様※
①屋根勾配2.8寸(緩勾配)
②地瓦(耐寒・緩勾配適合ハイシルバー・高浜市野安製瓦)
③経過年数 30年前後
水返しの無い瓦でも、水返しを付ければ雨漏りしない地瓦平部に改変する事はこの結果からでも容易に推し量れますので、施工主様は覚えておいて下さい。
また、葺き替えや新築をお考えの施工主様はご近所で一番結果を出している屋根材や製造メーカーを選択する様にすれば、大きな失敗を回避する事が出来ると思います。