ラバーロック・コーキングや瓦止めで雨漏りは直りますか?

ホームセンターで売っているシリコンコーキングの有用性の有無を知って下さい。

ラバーロック、コーキングや瓦止め工事で雨漏りは直りますか?こちらの御質問も非常に沢山頂きますのでお答えさせて頂きます。

 

その前に下記のリンクから瓦屋根の構造を知って頂ければ、より理解を深めて頂けると思いますのでお時間が御座いましたら一度目を通してみて下さい。 🙂

ルーフィング破損で雨漏りするのでしょうか?
漆喰工事で雨漏りは直るのでしょうか?

コーキング材を用いた工事の名称

コーキングを屋根に塗る工事とは現在呼び名が複数御座います。
何れも同じ工事内容と解釈して下さって問題御座いません。

①ラバーロック工事
②ラバーコーキング工事
③シリコン瓦止め工事
④瓦パテ止め工事
⑤ズレ固定工事
⑥瓦止め工事

実際に施工された後の写真子

瓦止め工事

この瓦止め工事の効能ですが、確かに瓦はズレ難くなりますし多少の風害にも強く成る事は事実です。

ただ、この工事で雨漏りが直りますか?と聞かれましたら殆ど直らないとお答えさせて頂いております。
瓦屋根雨漏り修理の一次診断で、いきなりシリコンで雨漏りを止めるという発想は我々には無いからです。

もちろん箇所によりましては雨漏りは直る場合も御座います。

※雨漏りが直る場合※

東鬼取り合い[1]

写真の棟瓦取り合い部の漆喰の代わりにシリコンを塗った場合。
漆喰より防水性能の高いシリコンはこの部位からの雨漏りを止める事が出来ます。
(ブリードというシリコン特有の汚れは付着してしまいますが強度的には漆喰をはるかに凌駕致します。)

また平部地瓦がズレテいる場合

地瓦のズレ

築年数も古く、葺き直しの予算まで届かない方や、建て直し迄の一次繋ぎ等、比較的軽度の瓦ズレでしたらズレテいる地瓦を押し上げて調性、瓦尻に溜まった埃の撤去、及び必要とあれば水返しの施設。
その後平部地瓦の表層にシリコンを少し付ける程度でしたら雨漏りは直ります。

※この少しと言う加減が重要で、躯体の構造によりましては災害時に瓦を落とす事で躯体の倒壊を防いでいる家屋も今なお現役で存在し、瓦屋根全面シリコン塗布など躯体状況を無視した施工は震災時には倒壊を招く恐れがあるからです。

他には谷鋼板の穴を塞いだり、割れている瓦を一次的につないだりなど。
(要約しますとDIYでも修理可能で雨漏りが直る場合も御座います。)

比較的簡易な雨漏り修理では無く
瓦止め工事が必要でない屋根にも施工されてきた事実と
現在でも必要でない瓦屋根に勧める方もおられるという事実を知って頂きたいと思います。

※瓦止め工事が必要でない屋根とは?※

・棟瓦・
KIMG1441

こちらの棟瓦は震災後葺き替えていた16年経過の燻瓦屋根
面戸瓦を使用している点、目立った施工不備など無い点などから一切この瓦止め工事は必要ありませんでした。
本来持つ棟瓦の構造で、排水機能は少し低下していても雨漏りはしておりません。

KIMG1230

平成28年に診断させて頂いた土葺き釉薬瓦の屋根
下葺き材トントン(杉材)と土の密着も良く、土量も充分で土に食い込んだ瓦の爪。
瓦桟木に頼らなくても瓦のズレは35年経った現在でもありません。

こちらの屋根にラバーロックを勧めている方がおられ真意の確認の為、診断させて頂いた次第です。
何もしなくても問題無しと判断させて頂きました。

引っ掛け桟瓦葺き

こちらの屋根は土葺き工法ではなく引っ掛け桟葺き工法
この工法も瓦裏面の爪を横木(瓦桟木)に引っ掛けて葺き上げる為ズレ難く、瓦止め工事は必要ありません。

上記のシリコンを用いた工事自体は、さほど技術・考察も必要ありませんのでどなたでも施工可能です。
誰でも出来るという事は、瓦屋根の構造を全く知らない方でもこの工事に従事し、その結果多くの弊害が残りました。

※棟瓦表層にシリコンを塗布した場合の弊害※

棟のコーキング雨漏り

上の隅棟瓦の瓦止め工事は雨漏り致します。
青い点が棟瓦の構造上雨水が入って来る箇所でありますが、水の出口が塞がれてしまっているからです。

2012.3.30千鳥で塗る瓦止め

陸棟をジグザグに千鳥でシリコンを塗布した場合。
陸棟瓦の崩壊には効果はありますが、雨漏りには何の効果もありません。

むしろ漆喰の重ね塗りとセットで排水量が落ち、崩壊を先送りにする効果を待つまでも無く雨漏りする場合があります。
棟瓦内部構造に不備が出ているならば、棟瓦の積み直しが正解です。

※恒常風による雨漏りの危険性を考える※

(恒常風とは年間を通して同じ方向から吹いている風、日本では南西)
※近隣建設物の影響で必ずしも南西とは限りません。※

屋根の風向き - コピー

上の図は簡単な切り妻屋根の伏図です。
陸棟瓦が恒常風に対して水平か垂直かによってジグザグに塗るシリコンの危険度が変わります。

長尺の千鳥シリコン塗布は確実に排水量が落ちますので、棟瓦がどの方向に向いているかによってこの工事の弊害は分化致します。
図の右の屋根の方が左の屋根より多くの雨水を受けますので、雨漏りする危険度は高くなります。
ですので、風が作る水道まで考えが及ばない場合、この施工は控えた方が良ろしいかと思います。

棟瓦シリコン全面塗布

それでは全面を塞いでしまおうと施工された棟瓦
こちらもシリコンの熱膨張でピンフォールが空きそこから雨水は侵入。
雨水の出口が無く雨漏りしておりました。

シリコンを絶対塗ってはいけない場所

瓦谷シリコン塗布

上の写真の赤丸の部分は常に雨が集中してくる地瓦谷といいます。
雨水が集中するこの部位にシリコンは絶対塗ってはいけません。

何故か?
雨が運んで来るのは水だけではありません。
雨水に混じる・黄砂・浜砂・あらゆる工業不純物、昨今では中国の大気汚染物質などが偏西風に乗り雨に混じって降ってくる可能性も視野に入れなければなりません。
これらの不純物はいとも簡単に地瓦谷芯にあるシリコンを摩耗してきますので、シリコンの熱膨張及び摩耗などで一度でも破られますと今度は雨水が出口を確保する事が出来ず、野地板まで干渉してしまいます。

長雨時等、地瓦谷芯は言わば小さな土石流状態となりますので、この部位のシリコンは瓦屋根にとっては破壊行為と同意語で御座います。
(明らかに水流の派生しない部位との劣化速度が違います。)
(銅板の穴開きと原理は同じです。)

雨漏りが止まるのは一時的で5年保障など頂いても全くの無意味です。
熱膨張頻度が高く日照時間の長い屋根面を皮切りに全面漏水を引き起す可能性も御座います。

熱膨張と摩耗で穴が空き雨水を堰き止めるシリコン

KIMG1269

劣化してくるシリコンが堰となり、雨漏りは以前の状態より倍化致します。

KIMG1623

また屋根勾配や内部の水返し・葺き土の二次防水性能にかろうじて助けられ雨漏りしなかった場合でも、通気を遮断され瓦の重ね目に常に滞在し続ける雨水・結露等の水分は本来起こる筈が無かった瓦自体の凍てによる損傷を招いてしまいます。

シリコンの寿命が尽きれば増し打ちを施せば良いと言われた方は注意して下さい。
以上の事から、DIYでも瓦谷の部位は塗らないで下さいね。

雨水がたまっていた動画も御座います。

如何でしたでしょうか?

瓦止め工事・ラバーロック工事・シリコン瓦止め工事
これらの工事で雨漏りを直して貰った場合、最も怖い事は、もうどうしようも無い場合も御座いますが雨漏りが再発した時、シリコンの塗布量を問わずして高確率で葺き替え工事の選択しか無いと提案される事です。

また、保証期間が切れていたり、業者に連絡が付かなかったり、かなりのストレスを強いられる場合も御座います。

コーキングや瓦止め工事で雨漏りは直りますか?纏め

①直る箇所とやり方もあります。
②悪化する場合もあります。
③悪化した場合、最悪葺き替えしか選択肢が無い場合もあります。
④この工事の必要性が無い屋根が殆どですので、初期瓦屋根雨漏り修理の業者選択は慎重に行って下さい。

この記事がお役に立てましたら幸いで御座います。長々と御一読頂きましてありがとうございました。 🙂