2017年09月06日

10本の花

10本の花を届けようとしている人がいた。

大切に育て、手塩にかけて育て上げた。

一日掛かってやっと、10本の花を届け切った。

その人は、喜んで家路に返る途中、溝に捨てられている自分が育て上げた9本の花達を見た。

一つ、一つ拾い上げて、傷んだ部分を直し、

次の日また、9本の花を届けようとしていた。

一日掛かってやっと、9本の花を届け切った。

家路に還る途中、また、8本の花が溝に捨てられていた。

一つ、一つ拾い上げて、傷んだ部分を直し、

次の日また。。。同じ様に一日掛かりだった。

日数は掛かったものの、

自分が手塩に掛けて育て上げた花は、漸く10人に届けられた。

この人の目的は、呟いたり、悲しんだり、躓いたりする事では無く、

10本の花を10人に届け切る事だった。

 

また、この人は、祈りと共に10本の花を手塩に掛けて育てようとしている。

花を捨てた人が、また取りに来るかもしれないからだ。